映画『飛べ!ダコタ』

PRODUCTION NOTE プロダクションノート

中央の着物の女性が、今回映画主人公・森本千代子のモデルとなった千世子さん。

ヒロイン・森本千代子の実在のモデル

実在の高千村の村長は、服部確太郎さん。劇中にもあるように、当時、「服部旅館」を営んでおり、遭難したイギリス兵を自身の旅館に迎え入れた。ヒロイン森本千代子のモデルとなったのは、その三女の千世子さんである。千世子さんは、《ダコタ》の不時着から旅立ちまでの40日間、乗組員たちの身の回りの世話に奮闘した。会話は、もちろん身振り手振りだったが、言葉の通じないもどかしさから、辞書を買って英会話の勉強もした。至れり尽くせりの千世子さんのもてなしに、イギリス兵たちは、ぎこちない日本語で「ありがとう」と感謝の気持ちを伝え、別れの時には機長から白いスカーフと紅い雪駄がプレゼントされた。お返しに、千世子さんの父・確太郎さんは、日本人形をプレゼントした。当時20歳だった千世子さんは、現在87歳。
いまも健在で、ダコタの不時着した村で暮らしている。

復元作業中のダコタ

現代の佐渡に蘇った《ダコタ》

不時着したイギリス空軍輸送機の機種名はDC-3の軍用輸送機改良型=C-47(型式:C-47A-50DL)。戦時中にアメリカのダグラス・エアクラフト社がアメリカ軍の軍用機として製造し、後にイギリス軍に供与されたもので、イギリスでは《ダコタ》の愛称で呼ばれた。本機は、大戦中から要人機「シスター・アン」として活躍し、戦後に上海のイギリス総領事を東京での連合国の会議に出席させる為、東京に向かっている最中に佐渡に不時着することになった。この地を離れた後は、フランス軍の所有を経て、僻地への生活物資を運ぶ輸送機として活躍した。
現在でも、アメリカ人の個人オーナーの手に渡り、フロリダ州エイボン・パーク空港の格納庫に大切に保管されている。実際の機体は個人所有のため、撮影に提供してもらうのは困難であったが、本作のスタッフは同機種の飛行機を求めて世界中を探しまわった結果、タイに現存する《ダコタ》を発掘。日本に、分解、移送することになった。


2012年12月に佐渡の地にやって来た《ダコタ》は、写真家であり、日本におけるDC-3研究の第一人者でもある山本賢吾氏と、現在、アメリカでDC-3のパイロットを務めるマーク・ボゴースト氏を組み立て作業の監修指導に迎え、復元作業が行なわれた。

わら草履づくりの様子/滑走路用の石づくりの様子/金泉小学校の生徒からのメッセージ

地元ボランティアの愛情に支えられた真の意味でのご当地映画

佐渡島での全編オール・ロケによる撮影中、スタッフ・キャストを支えてくださったのは、地元ボランティアのみなさんによる惜しみない支援であった。

衣装
舞台となる佐渡郡高千村の村民役のエキストラ出演はもとより、出来る限り、当時の状況をリアルに再現したいという製作陣のこだわりから、本作の時代背景である昭和21年当時、実際に使用されていた着物や小物類を自宅から持ち寄って撮影に提供していただいた。

わら草履づくり・滑走路の石づくり
エキストラが使用する300足ものわら草履も、地元の経験者でもあるお年寄りの指導の下で、ボランティアのみなさんが一足一足手作りで編んでくださったものである。
また、《ダコタ》の離陸シーンに欠かせないのが、滑走路作り。しかし、佐渡島内の海岸線のほとんどが国定公園であることなどから、入川の石(平らな石)を使用出来ない事が判明。限られた時間と予算の中で生まれたのが、新聞紙を紙粘土状にして石を作るアイディア。地元金泉小学校の生徒さん達をはじめ、映画製作に賛同くださった全国の方々からも、思いの詰まった手製の石が次つぎと届けられ、滑走路作りに必要なおよそ15,000の石が集まった。それらはすべて、《ダコタ》の滑走路として本編中で使用されている。

さらに、クライマックスの撮影前夜には、佐渡市連合婦人会と佐渡南ロータリークラブのみなさんが、キャスト・スタッフ、エキストラのために、400食分もの炊き出しを用意してくださった。こうした地元のみなさんの助け合いの精神と情熱・心遣いが、《ダコタ》を現代の大空へ飛び立たせた原動力となったのだ。

地元コーラスグループを指揮する宇崎竜童と、主題歌を歌う石井里佳。

現代の佐渡に蘇った《ダコタ》

2012年8月——アミューズメント佐渡において、本作の主題歌の披露と、コーラスの録音イベントが行われ、音楽プロデューサーの宇崎竜童の下、主題歌を歌う石井里佳と、地元のコーラスグループ「アミューズメント合唱団」「カンテリーノ両津」「コーラス真野」の総勢49名の歌声が ホールに響き渡った。映画のクライマックス、飛び立つ《ダコタ》を見送る佐渡の人々を捉えた映像に続いて、スクリーンから優しく響き渡る石井里佳の歌声とそのコーラスの音色は、まさに圧巻である。

ダコタ着陸記念塔 ダコタ着陸記念塔 ダコタ着陸記念塔